農業系ライターのブログ

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島ちゃび

島ちゃびとは、沖縄の方言で、離島が受ける様々な不利益のことを指し、「離島苦」と書く。島痛みや、孤島苦などともいわれるそうだ。台風などの自然災害の影響を受けやすく、本土との経済格差などを思うと、島ちゃびは離島県、沖縄の抱える様々な問題を一言で言い表す言葉に思える。

島ちゃびが、私たち本土の人間の想像を超えていることを実感したのは、4年前に取材した伊是名島の教育格差だった。伊是名島は名護の運天港から1時間ほどかかる。島には小中学校が1校ずつしかないため、子どもたちは中学卒業後と共に島を離れ、本島へ進学していく。下宿代や生活費を合わせると仕送りは月に10万円を超えるのだという。島には塾もなく、良い学校に行かせるために夏休みや冬休みに泊まりがけで本島に滞在し、塾の講習を受けさせる家庭もあるそうだ。

高校へ行かせるのに月に10万円。我が家計を思っても負担は相当大きく、しかも漁業と水産加工が主な産業である島の経済状況を考えると、私たちの10万よりも重くのしかかる金額だろう

他県と同じ教育を受けるためにそれほどの教育費がかさむ現状は、教育の機会が平等とはいえない。教育だけではなく、様々な場面でこういった離島ならではのハンディキャップがあるのだろうなと思った。

 沖縄知事選、仲井真弘多氏に約10万票の大差をつけて初当選した翁長雄志氏は「民意が私を選んだ」と言ったのだそうだ。でも、民意ってなんだろう。民意で辺野古移設を阻止できないことくらい皆知ってるんじゃないだろうか。

基地問題は重要な問題で、決してなおざりにしてはいけない。でも、それは沖縄の民意でどうにかなることじゃなく、日米安全保障のあり方を見直さなければならない国の問題でもあるわけで。なのに、選挙のたびに、「基地問題」だけが大きく取りざたされ、争点になってしまうことで、沖縄の諸々の問題が隠れてしまっていることはなんともいえない居心地の悪さを感じる。

島ちゃびとどう向き合うか、他県と同じように暮らしていくための社会的な基盤をどう作っていくか。本当に民意が求めていることって、そういうことじゃないのだろうか。それは、沖縄だけの問題ではないのだろうけれど。

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