農業系ライターのブログ

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津波のバカヤローッ!

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週末、娘と宮城に行ってきた。初日は、NEWSの仙台公演でジャニヲタをし、2日目はレンタカーを借りて、三陸自動車道を飛ばして、南三陸町志津川へ。なんだか、感情が忙しく、食い合わせがいいような、悪いようなよくわからないスケジュールだが、前々から一度東日本大震災の被災地には連れていきたいと思っていたので、いい機会かなと思い。

 

娘に聞くと南三陸町に行ってみたいという。ならば、被災地を知る語り部ツアーもいくつかあるようなので、それに参加して、その後、「さんさん商店街」に行き、おいしい魚介を食べてくるかという計画。

 

南三陸町は、震災の年の夏に気仙沼市小泉浜災害ボランティアセンター、通称『はまセン』を立ち上げた岐阜県会議員の川上哲也さんの活動を取材させていただいた際に何度か足を運んで以来だ。

 

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これは、震災から4ヶ月くらい経ったころ。車で通りかかったときに、あれが南三陸町の防災庁舎か……。ということはここは町の中心部だったんだ……。と気づき、遠くから撮った1枚。

 

現在は、町のあちらこちらで工事が行われていて、カーナビに案内された集合場所の観光協会も見逃してしまうほど、道路が入り組んでいた。津波で浸水した地域を10mほどかさ上げをし、そこに商業施設を集中させ、住居は山を切り開いて作った高台に移す計画なのだそうだ。10mと簡単に書いちゃうけど、3階建てのビルくらいかな。それだけの土を盛り土して、その上にできる町は、全く新しい町。だけれど、この町の人にとってはやっぱりふるさとなんだよね。

 

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語り部ツアーは観光協会の職員の方の案内。2人のお子さんのお母さんで、海のすぐ近くにあった自宅は流されてしまったものの、ご家族、4人はご無事だったそうだ。うかがうと、少しでもタイミングがずれていたら…というギリギリの体験をされたそう。家を失い、いまは、隣町に住み、そこから通っている。そんな話をお聞きしながら志津川中学校へ続く、階段を上る。

 

あの日、南三陸町は春が来たかのようなポカポカ陽気だったそうだ。それが、地震のあとは一転して、空が曇り、ポタポタと雪も落ちてきたのだという。

「まさに、天変地異です。」

そう話していたが、天と地が怒り狂っているかのようななか、何度も何度も押し寄せる津波にどんな思いでいたことか… 。

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志津川は、1960年のチリ地震の教訓で、学校はみな高台に、移したんだそうだ。長い長い階段の途中、

南三陸町津波は高さ16メートルに達したんです。16メートルっていうとここ辺り」

と、教えられ、立ち止まったところから下を見た。高い…。海は数キロ先なのに、川をさかのぼりこの辺りにまで、そんな高さの津波が押し寄せたなんて…津波がどれほどのものだったか、改めて驚かされた。

 

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 志津川中学校から、町を一望した。

防災庁舎を遠くに見ながら、あの日のことや、町長さんの話などをうかがう。

 

海は穏やかで、春の日差しを受けキラキラ輝いていた。今は、海のない町に住む高3のお嬢さんが、ときどき『海がみたい!』と言うので、車を飛ばして海を見に来るのだそう。2人で海をぼんやりと眺め、ああスッキリしたと、帰るという。

 

そのお嬢さんが小学生だった当時、震災後すぐに書いたというメモを見せていただいた。

【失ったもの、買う物 】と書かれたメモには、アップライトピアノからはじまり失ったものが思いつくままに書かれていた。特に太く大きく書かれていたのがドライマンゴー。 後でゆっくり食べようと思っていた大好きなドライマンゴーが流されてしまって悔しかったんだね。昨日残した玉子焼きなんていうのもあった。

 

一人ひとりの当たり前の日常が、一瞬にして失われたことが、これほどリアルに伝わる言葉もないかもしれないな。


そして、最後は津波のバカヤローと書かれていた。なんか、お嬢さんの気持ちが、痛いほど伝わってきた…。

 

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その後、高さ10メートルに かさ上げされた場所に、新しくできたさんさん商店街に、足を運び、おいしいお魚を食べて帰ってきたわけですわ。今度はもうちょっとゆっくり行きたいね。