”地域の魅力を伝えるデザイン”に見る新しい地方の時代
2015年が始まりました。今年もよろしくお願いします。
元旦は、どこにもいかずに家でごろごろしながら、年末にamazonで購入した「地域の魅力を伝えるデザイン」を読んでいました。読むというより、眺めるというほうが正しいかな。
これは、各地の文化や歴史を伝えるために制作されたローカル紙、PR冊子、観光案内、ミニコミ誌などが約60点掲載されている事例集です。文化の発信や歴史の継承、観光情報、魅力の再発見、地域ブランディングの4つの章立てで紹介され、地域プロモーションの事例集と帯には書かれています。町おこしのヒントとして行政担当者や地域復興に関わるような方に向けて作られている本であるようですが、つらつらと眺めているだけでも各地の風景や、伝統工芸、お祭りや食などの多彩さに驚かされ、南北に長い日本には、多様な文化が息づいていることを改めて思いました。
住んでいる人がその土地の魅力に気づき、宝自慢をしているかのような本を眺めていて、新しい地方の時代が始まっているような気もしました。地方の時代などと書いてしまうと手垢がついてる感がありますが、かつての中央集権に対抗する意味合いとは全く異なります。むしろ、都会にはない魅力を見てほしい、知ってほしいという地方からのポジティブなメッセージの印象です。地方の良さを魅力的に発信することが、結果としてそれを知った多くの人が行ってみたい、こんな町に住んでみたいと、引き寄せられるきっかけの1つになるのだろうと思います。
それを裏付けるように地方に移住する若い世代が増え、4年間で2.9倍になっているというニュースが1月3日付けで流れてもいました。(Yahoo!ニュース - <地方移住>4年で2.9倍 「首都・近畿圏から」3割 (毎日新聞))
地方が積極的に自らの魅力を発信する背景には厳しい現実もあります。私も、仕事柄、地方に行くことが多いのですが、過疎化や高齢化の深刻さをひしひしと感じることが少なくありません。こういったプロモーションツールが盛んに作られるのは、それだけ地方の課題が切羽詰まっていることの表れでもあるのでしょう。
でも、高齢化や過疎化は地方だけの課題ではありません。都心でも同じように人口の空洞化が起きていますし、私の住んでいる郊外のベッドタウンでも人口こそ減少していませんが、高齢化が進み、空き家の存在も目に留まるようになっています。
地方だけではなく、日本全体の人口構成が大きく変わろうとしているなか、価値観や生き方の指針をどう定めていけばいいのかは、共通の課題です。その答えの1つに「地方の魅力に気づく」があるのかな…。そんなことを思った年あけでした。
地域の魅力を伝えるデザイン―Design for local paper media in Japan
- 作者: 齋藤あきこ
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2014/12/19
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